個人再生に失敗した体験談〜任意整理か自己破産か悩んだ末の選択〜

個人再生は借金を大幅に減額でき、マイホームなどの財産も守れる強力な債務整理の方法です。しかし、私はその個人再生に失敗してしまいました。 約600万円の借金を抱えて手続きを進めていましたが、予想外の事態が重なり、残念ながら再生計画案が認可されなかったのです。
個人再生が失敗すると、借金は一切減額されず、保留されていた差し押さえのリスクも再び生じます。私の場合も、当初の借金残高がそのまま残る状況に逆戻りしてしまいました。精神的にも大きなショックでしたが、落ち込んでいる時間はありません。

個人再生が失敗してしまったら、早急に次の対策を検討しましょう。悩んでいる間にも利息や遅延損害金が増え続ける可能性があります。
個人再生に失敗した体験談
相続によって失敗
私のケースでは、手続きの途中で大きな財産を相続してしまったことが失敗の直接の原因でした。借金返済中に、地方に住む父が他界し、私は実家の土地・建物と預貯金を相続することになりました。
その結果、個人再生の手続き上、返済しなければならない最低額(清算価値)が大幅に増えてしまったのです。手続き前の借金は約600万円で、再生計画では約120万円まで減額できる見込みでした。
しかし、相続した財産評価額が約580万円あったため、最低でも580万円を返済しなければならなくなり、個人再生を続ける意味がほとんどなくなってしまいました。
最終的に私は泣く泣く個人再生の申立てを断念したのです。



個人再生では手続き中の相続や賞与など予想外の収入・財産増加にも注意が必要です。事前に弁護士へ相談し、見通しを立てておきましょう。
「清算価値の増加」で個人再生が実質、失敗してしまうケースのほか、以下のような理由が挙げられます。
個人再生に失敗する3つのケース
返済計画に沿った支払いが継続できない
収入減少や失業、病気などで再生計画の支払いが滞ると、計画は取り消されてしまいます。特に手続き中の「履行テスト」(試験的な積立期間)で入金を怠ると致命的です。
手続きの要件を満たせなくなった
新たな借金をしてしまったり、必要な書類が提出できないなど、手続き上の不備があると再生計画案が認可されない場合があります。
債権者から反対され計画案が可決しない
小規模個人再生では、債権者の一定数の同意が必要です。多数の債権者が反対すると計画は不成立となります。



個人再生を成功させるには、安定した収入の維持と手続きの厳守が不可欠です。新たな借金や浪費は避け、弁護士の指示に従って行動しましょう。
個人再生が失敗した後に残された選択肢
個人再生に失敗しても、借金問題の解決策がなくなったわけではありません。私も次に取るべき道として、大きく二つの選択肢に直面しました。
それが 「任意整理」 を行うか、「自己破産」 するかです。個人再生後に残された手段として、この二つを検討することになりました。



状況に応じて他の債務整理を検討することで、まだ借金を減らしたり免除したりできる可能性があります。
任意整理で借金を減額する方法
任意整理とは、裁判所を介さずに債権者(貸金業者など)と直接交渉し、将来利息や遅延損害金をカットしてもらう手続きです。
元本自体は減額されませんが、毎月の返済負担を軽くしたり、返済期間を長くして月々の支払い額を減らせるメリットがあります。私の場合、父の遺産の一部(現金)を相続していたこともあり、それを頭金として充てつつ残額を長期分割で返済する交渉ができれば、完済のめどが立つ可能性がありました。
任意整理のメリット | 借金の元金は基本的に減らないため、そもそもの借金額が大きすぎる場合 は完済が難しいです。また、任意整理では減免が利息部分に限られるため、返済総額の圧縮効果は個人再生や自己破産より小さいです。 |
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任意整理のデメリット | 裁判所を通さないため手続きが比較的簡単で費用も抑えられます。また、財産を処分せずに済むので、車や不動産などを守れる点も大きな利点です。ブラックリスト(信用情報への事故情報登録)は残りますが、これは個人再生や自己破産でも同様です。 |



一定の収入があり元金を返済できる見込みがある人 は、まず任意整理を検討しましょう。利息カットだけでも返済がぐっと楽になるケースは多いです。
自己破産で借金をゼロにする方法
自己破産は裁判所に申立てを行い、借金の支払い義務そのものを免除(免責) してもらう手続きです。債務整理の中でも最終手段と言われますが、法的に借金がゼロになるため、再出発には非常に有効な方法です。私自身、個人再生が叶わなかった時点で「最終的には自己破産するしかないのか」という思いが頭をよぎりました。
自己破産のメリット | 法律上、借金を全額帳消しにできる強力な救済措置です。返済に追われる生活から解放され、生活再建のスタートを切ることができます。手続き後一定期間はクレジットカード作成や新規借入が制限されるものの、時間が経てば信用情報も回復していきます。 |
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自己破産のデメリット | 財産や資産価値のある物(不動産、自動車、高額な貯金など)は原則として処分する必要があります。保証人がいる借金は保証人へ請求がいく点にも注意が必要です。また、手続き中は一部の職業(士業や会社役員など)に就けない制限があります。 |



返済の見通しが立たない場合 は、自己破産も恐れずに検討しましょう。借金をリセットして生活を立て直すことは、決して恥ずかしいことではありません。
個人再生に失敗した人が選んだ方法
任意整理か自己破産どっちにすべきか
個人再生が失敗した後、私は任意整理と自己破産のどちらを選ぶべきか真剣に悩みました。父の遺産として実家の不動産を半分相続していましたが、高齢の母が住んでいる家でもあり、できれば手放したくありません。
一方で、借金の額はまだ数百万円規模が残っており、任意整理で利息をカットしても返済が苦しい状況であれば、最終的に自己破産も覚悟しなければなりません。
担当の弁護士とも相談を重ねた結果、私はまず任意整理で債権者と和解交渉し、それでも返済が難しいときは自己破産に切り替える 方針を取ることにしました。幸い、債権者の何社かとは将来利息ゼロ・長期分割で和解できる見込みが立ち、月々の返済額も当初計画より抑えられそうです。



債務整理の方法に正解はありません。自分の収支状況や守りたい資産 に応じて、専門家と一緒に最適な方法を選びましょう。

