NP後払いが払えない時リスクとピンチを脱出する解決方法

ネット通販などで商品受取後にコンビニ等で後払いできる「NP後払い」は便利なサービスです。しかし、支払いを滞納してしまうと様々なリスクが生じます。本記事では、NP後払いが払えない場合に考えられるリスクと具体的な解決法について、法律に詳しくない方でも分かりやすく解説します。
NP後払いが払えないとどうなる?考えられるリスク
NP後払いの支払い期限を過ぎて放置すると、次のようなリスクが生じます
NP後払いや他の後払いサービスが利用停止になる
NP後払いで滞納があると、新たなNP後払い利用はできません。またNP後払いは加盟各社で顧客情報を共有する「通販信用情報サービス」に加盟しているため、滞納情報は他社の後払いサービスにも伝わり、他の後払い決済も一時的に利用できなくなる可能性があります
つまり、支払いを完了するまでは、後払いサービス全般が利用停止になる恐れがあります。
遅延損害金や延滞事務手数料が発生
支払い期限を過ぎると、遅延損害金(ちえんそんがいきん)が発生します。
遅延損害金とは支払い遅延のペナルティとして課される利息で、NP後払いの場合、年率14.6%と定められています。
日割りでどんどん加算されるため、放置すると最終的な支払額が増えてしまいます。また、一定期間支払いがないと延滞事務手数料(回収にかかる事務手数料)も請求されます。
たとえば数ヶ月滞納すれば、商品代金に加えてこれらの利息や手数料もまとめて支払わなければなりません。
支払いの催促の連絡が来る
滞納が続くと、まずはNP後払い運営会社(株式会社ネットプロテクションズ)からメールやハガキで支払い督促が届きます。
支払い期限から約2週間~1ヶ月の間に複数回メールや請求書が送られ、それでも支払わない場合、「弁護士委託前通告」と呼ばれる通知が届くケースもあります。
これは「このままでは債権回収を弁護士事務所に委託する」という最終督促状で、放置すると本当に弁護士に回収業務が引き継がれます
法的措置(裁判)や財産の差し押さえに発展する可能性
滞納開始から弁護士による督促も無視し続けると、最終的には裁判を起こされる恐れがあります。NP後払いの利用上限額は5万5,000円程度ですが、約3~6ヶ月滞納すると少額訴訟(60万円以下を即日で判決する裁判)を起こされる可能性が高まります。
裁判所から訴状や期日通知が届いたら無視できず、出廷しなければなりません。判決が出てしまうと強制執行により差し押さえ(さしおさえ:法律に基づく財産の取り立て)が行われ、給料や預金口座、車などの資産が差し押さえられるリスクがあります。
実際に給料を差し押さえられれば勤務先にも滞納が知られてしまい、信用を失う結果にもなりかねません。これはNP後払い滞納の最悪のケースと言えるでしょう。
※遅延損害金…支払期限を過ぎた日数に応じて課される年利で計算された延滞利息のこと。
※差し押さえ…裁判所の執行官が債務者の財産を強制的に取り立てる法的手続き。給料や預金、不動産などが対象となる。
NP後払いが払えない状態が続いた時の主な流れ
支払い期限から遅れると、まずはメールでの督促、その後ハガキの請求書送付といった流れで催促が来ます。約1ヶ月が経過する頃には「債権回収を弁護士に委託する」旨の通知(弁護士委託前通告)が届き、以降の督促対応は提携弁護士事務所に引き継がれます。
滞納2~3ヶ月ほどで弁護士事務所から直接の電話や書面による督促が始まり、それでも無視して半年近く経過すると少額訴訟による法的措置へ移行します。判決確定後は強制執行により給与や預金が差し押さえられる可能性が高くなり、こうなると取り返しがつきません。
滞納初期であればメールや郵送での督促だけですが、「放置し続ければ最終的に裁判所から財産を差し押さえられる」ということを肝に銘じておきましょう。
NP後払いが払えない時の解決方法
支払いが難しい場合でも、適切に対処すれば最悪の事態を回避できる可能性があります。以下に、NP後払いが払えないときの具体的な対処法を解説します。
まずは支払い猶予や分割払いの相談をする
支払い期限に遅れそうだと分かった時点で、すぐに行動することが大切です。基本的に後払い決済では支払い期限の延長はできないルールですが、だからといって何もしないまま放置してはいけません。まずはできるだけ早く支払う努力をしましょう。
もし支払い期限を過ぎていても、送られてきた請求書(払込票)や電子バーコードはそのまま使用できる場合が多く、期限後でもコンビニ等で支払えることがあります。実際NP後払いでは、支払い期限を過ぎても請求書やバーコードは一定期間利用可能で、滞納から1ヶ月以内であればそのまま支払いが可能です。うっかり支払い忘れに気づいた時は、すぐに手元の請求書を持って最寄りのコンビニや銀行などで支払ってください。
どうしても支払えない事情がある場合は、早めにNP後払いのサポートデスクに連絡し相談することも検討しましょう。NP後払い公式のFAQによれば「請求書の分割支払いには対応できない」とされていますが、連絡せず放置するよりは意志を示すことが重要です。
電話や問い合わせフォームで事情を説明すれば、支払い方法について何らかの案内を受けられる可能性があります。たとえば請求書を紛失している場合でも、NP会員マイページから再発行手続きを行えるため、諦めずに問い合わせてみましょう。
ポイントは「支払う意思がある」ことを相手に伝えることです。何もせず滞納期間を伸ばすと相手(債権者)も不安になり、早期に法的措置へ踏み切る可能性が高まります。払えないときこそ放置せず、まずは支払い方法や猶予について相談してみましょう。
家族や知人に一時的に借りる
一時的な資金不足で支払えないだけであれば、身近な家族や友人からお金を立て替えてもらうことも検討できます。すぐに思いつく対処法ですが、頼れる相手がいるなら最悪の事態(裁判・差押え)を防ぐために早めに援助をお願いするのは有効な手段です。
例えば一時的に立て替えてもらい、後日分割で返済する約束をすることで窮地を凌げるかもしれません。ただし、家族や友人に借りる場合の注意点も押さえておきましょう。
まず、必ず返済のめどを立ててお願いすることです。口約束であっても「○月には返す」と明確に伝え、信頼を損ねないようにします。また、この方法はあくまで一時しのぎであり、根本的な解決ではありません。何度も繰り返せば人間関係の悪化にもつながりかねませんし、借金問題が長引くだけです。
高利子の闇金は絶対に手を出さない
本当に困ったときの最後の手段と考え、闇金など違法業者(SNSやネット掲示板での貸しますなど)から借りることは絶対に避けつつ、信頼できる身内の力を借りて早期解決に繋げましょう。
なお、家族や友人に相談する以外にも、緊急小口資金(市区町村社会福祉協議会が実施する無利子貸付制度)を利用したり、不用品を売却して現金化したり、日払いアルバイトで収入を得るなどの方法もあります。
債務整理を検討する(任意整理・個人再生・自己破産)
滞納が長引いたり、NP後払い以外にも複数の借金を抱えていて支払いが根本的に困難な場合は、債務整理(さいむせいり)も視野に入れましょう。債務整理とは借金を法的な手続きで減額または免除し、返済の負担を軽減する方法の総称です。主な手段として任意整理・個人再生・自己破産の3つがあり、それぞれ特徴やメリット・デメリットがあります
任意整理(にんいせいり)
裁判所を通さず、弁護士や司法書士が債権者と直接交渉して借金の減額や返済計画の見直しを行う手続きです。主に将来利息や遅延損害金をカットし、残った元本を3~5年程度の分割払いにする和解を目指します。これにより毎月の返済額が減り、無理のない範囲で返済継続できるケースが多いです。
裁判手続きに比べ手軽で、財産を処分せずに済むメリットがあります。一方、元本自体は減額されにくい(利息カットが中心)ため借金の大幅減額は期待しづらい点や、和解後の返済を滞納すると再び督促・法的措置を受けるリスクがある点がデメリットです。
また、任意整理を行うと信用情報に事故情報が登録されるため、以後約5年程度は新たな借入やクレジットカード作成が難しくなるという影響があります。
個人再生(こじんさいせい)
裁判所を通じて借金を大幅に圧縮し、原則3年間(状況により最長5年)で分割返済する計画を立て直す法的手続きです。
住宅ローン以外の無担保債務が対象で、借金の総額に応じて最大で約5分の1程度まで減額できる可能性があります(借金総額500万円以下なら100万円に、それ以上~1500万円以下なら5分の1に圧縮などの基準あり)。
大きな減額効果が期待できる反面、継続した安定収入があることが利用条件となります。裁判所への申立てが必要ですが自己破産と違いマイホームなどの財産を処分せずに済む場合が多く、家計を立て直しつつ財産を守れる点がメリットです。
デメリットとしては、手続きが複雑で時間がかかること、原則として減額後の借金を3年できちんと返済しきらなければならないこと、そして信用情報上はブラックリストに載るため約5~10年間は新規借入が制限されることが挙げられます。
自己破産(じこはさん)
裁判所に申立てを行い、借金の返済義務そのものを免除してもらう手続きです。裁判所から「免責許可」が下りれば、たとえ数百万円の借金があっても全て帳消し(ゼロ)にすることが可能です。
支払い不能に陥った債務者を救済する最終手段であり、受任後は債権者からの取り立ても即座に止まります。返済そのものが不要になる点が最大のメリットですが、その分デメリットも大きいです。
原則として20万円を超える現金・財産は処分の対象となり、高価な資産やマイホーム・マイカーは手放さなければなりません。また手続中一時的に資格制限(士業や会社役員等一定の職業に就けない)が生じます。信用情報上も最も重大な事故情報となり、約5~10年間は新たな借金やクレジット利用が不可能になります。メリットが非常に大きい反面「誰にとっても自己破産が最善とは限らない」とされるゆえんです。
NP後払いの滞納が数万円規模で他に借金もなければ、債務整理まで検討せずとも支払い自体は何とかなるケースが多いでしょう。しかし、「他にも借金が多額にありNP後払いすら払えない」「収入が減ってとても返済が追いつかない」といった深刻な状況であれば、早めに専門家へ相談し債務整理による解決策を探るべきです。
債務整理を行えば借金そのものを大幅に減額したりゼロにできる可能性もあります。躊躇するかもしれませんが、将来の生活を立て直すための正当な制度ですので、必要に応じて検討してください。
NP後払いに困ったらすぐに相談!(まとめ)
NP後払いが払えない状況に限らず、借金の問題は放置すればするほど状況が悪化します。延滞による利息・遅延損害金で債務が雪だるま式に増え、督促状や取り立てに精神的な余裕も奪われ、冷静な判断ができなくなってしまうこともあります。
だからこそ、支払いに困った時点ですぐに誰かに相談することが肝心です。早期に適切な相談をすれば、督促も法律の力で止めることができます。問題を抱え込まず、ぜひ積極的に専門家や公的機関を頼ってください。